
衣服やカーペット・カーテンなど、身の回りには多彩なデザインが施された生地の製品が見られるものです。
それらの生地をデザインするテキスタイルデザイナーとはどういう仕事で、収入はどれだけ得られるのかを案内します。
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1.アパレルメーカーやインテリアメーカーが主な就職先
さまざまな生地や布地・織物の色や柄・意匠を考案するのが仕事のテキスタイルデザイナーは、日本で言うと染織家に相当する職業です。
テキスタイルデザイナーの扱う布地の対象は幅広く、衣服や帽子・スカーフ・ハンカチなどの服飾分野だけでなく、テーブルクロスや壁紙といったインテリアの分野にまで及びます。
テキスタイルデザイナーの主な就職先はアパレルメーカーやインテリアメーカーですが、繊維メーカーやデザイン事務所で働いている人も少なくありません。
アパレルメーカーに勤務する場合を例に挙げると、社内外のファッションデザイナーと打ち合わせながらデザインを企画することからテキスタイルデザイナーの仕事が始まります。
ファッションデザイナーの意図を汲み取りながら最適な素材を選び、生地のデザインを検討していくのです。
テキスタイルデザイナーは生地のデザインだけでなく、新たな素材の開発や生地の制作まで担当する場合もあります。
2.テキスタイルデザイナーの収入はどの業種でも平均年収は450万前後円
テキスタイルデザイナーの収入は所属先企業の規模や勤務年数によっても変わってきますが、全般にデザイナー間でそれほど大きな格差の見られない点が1つの特徴です。
アパレルメーカーやインテリアメーカーに就職した場合の初任給は23万円から25万円程度と言われており、一般的な会社員の平均的な初任給と比べると高めとなっています。
テキスタイルデザイナー全体の平均年収は450万円前後と推定されていますが、どうしても勤続年数が長い人ほど収入も多くなるものです。
テキスタイルデザイナーの年収の幅は300万円から500万円の間と見られ、会社に所属している限りは1000万円以上の高年収を稼ぐのは難しいと言われています。
会社員の平均年収は約400万円と推定されますが、多くのテキスタイルデザイナーもその平均的な収入水準で働いているのです。
3.フリーランスとして独立するには設備投資も必要
ファッションデザイナーやインテリアデザイナーの中にはフリーランスとして独立し、世界的にも有名になったという人が何人もいます。
会社に所属しているうちは収入や仕事の依頼も限られてしまいますが、デザイナーとしての実力が認められれば独立することでいくらでも稼ぐことができるようになります。
有名なデザイナーの中には億単位の年収を稼いでいる人もいるほど、ファッション業界は実力第一の世界だと言えます。
テキスタイルデザイナーにもそうした独立の道はまったくないわけではありませんが、大半の人は何らかの企業に所属しているものです。
服飾品からインテリア用品まで多様なメーカーが顧客として想定されるフリーのテキスタイルデザイナーが仕事を得るには、技術や知識だけでなく営業力も求められてきます。
テキスタイルデザイナーの仕事には生地のサンプルを制作したりする工程も含まれてくるため、独立するにも工場の設備などが必要になってくるのです。
4.一見地味な仕事でもデザインセンスを発揮できる
フリーランスとして独立するには高額な設備投資を要するだけに、多くのテキスタイルデザイナーはアパレル・インテリア・繊維などの各メーカーを活躍の場としてきました。
デザイナーとしてはそれほど派手なイメージではありませんが、服飾品やインテリア用品を引き立てる生地の色や柄をデザインする仕事はやりがいがあるものです。
綿やウールなどの天然素材だけでなく、ポリエステルやアクリル・ナイロンといった化学繊維も含めた生地にはそれぞれ固有の質感があります。
そうした生地の質感を適度に生かしながら染め方や織り方を選択し、自分なりの色や柄を考えていく仕事は刺激的でクリエイティブそのものです。
服飾デザイナーやインテリアデザイナーの意図も汲み取りながらも、配色や加工方法を工夫することでオリジナリティを出すことができます。
手触りや耐久性まで考慮した生地をデザインするテキスタイルデザイナーは、想像以上に奥深い仕事です。
5.大学や専門学校でデザイン・服飾を学ぶのが一般的
テキスタイルデザインの分野で世界的に有名なメーカーとしては、フィンランドのマリメッコ社が挙げられます。
ウニッコと呼ばれるカラフルで斬新な花柄が知られるマルメッコ社では、カーテンや壁紙からエプロンに至るまで多種多様な製品の生地をデザインしてきました。
マリメッコ社には多数のテキスタイルデザイナーが在籍していますが、その中でも日本人の石本藤雄氏は数々のデザイン賞を受賞して個展を開くほど有名になったデザイナーの1人です。
フリーランスとして独立する人は決して多くないと言われるテキスタイルデザイナーにもこうした成功例は見られますので、これから目指す人にとっては夢のある職業だと言えます。
テキスタイルデザイナーの仕事には、配色の与える心理的影響や生地に関する専門知識が欠かせません。
服飾や工芸・デザインに関する学科のある大学や専門学校で学び、アパレルメーカーやインテリアメーカーに就職してデザインセンスを磨くのがテキスタイルデザイナーになる一般的なコースです。
センスを活かせる反面、年収は控えめのテキスタイルデザイナー
たとえ企業の一社員であっても、テキスタイルデザイナーは生地デザインの分野でセンスを発揮できる仕事です。
多くのテキスタイルデザイナーが生み出した生地デザインは、日常生活の空間を鮮やかに彩っています。
生活に溶け込むデザインを創造する点で、テキスタイルデザイナーは生活そのものを演出する職業とも言えるのです。