
F1やル・マン24時間レースに代表されるモータースポーツは華やかな世界ですが、レースを支えているのはメカニックたちの地道な働きです。
そんなレーシングメカニックを仕事に選ぶための方法や収入について紹介します。
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1.レーシングマシンの組立・整備から分解・撤収までが仕事
自動車レースやオートバイレースには非常に多くの種類があり、世界最高峰のレースと言われるF1グランプリは特に有名です。
日本国内でもスーパーフォーミュラ選手権やSUPER GT・ラリー選手権など、多種多様なレースが全国各地のサーキットコースやラリーコースを舞台に開催されています。
耐久レース用のマシンなども含め、極限のスピードや耐久力とテクニックを競うモータースポーツではドライバーの実力に劣らずマシンの性能が勝敗を大きく左右します。
公道を走れる一般車両に改造を加えることでアマチュアドライバーでも参加できるジムカーナのようなレースもありますが、フォーミュラ系など競技専用車両として設計されたマシンは公道を走ることができません。
レーシングメカニックはレースで使うマシンの整備やチューニングなどを担当するのが主な仕事ですが、フォーミュラ系のレースに参加する場合はゼロからマシンを組み立ててレース終了後に分解するまでが仕事内容に含まれるのです。
2.整備士等の仕事と兼務している人が大半
レーシングメカニックが所属するチームには、自動車メーカーのワークスチームと一般企業や個人が結成したプライベーターチームの2種類があります。
日本の自動車メーカーでもトヨタや日産・ホンダなどがワークスチームを持っており、プライベーターチームの中には自動車メーカーからワークスマシンの提供を受けているセミワークスの形態も多く見られます。
いずれもレーシングメカニックの平均年収等に関する信頼すべきデータは公開されておらず、求人サイトなど断片的な情報から収入面を推察するしかありません。
専業としてレーシングメカニックの仕事に従事している人の年収は300万円未満という例が多く、小規模のレースシングガレージなどに採用された場合は生計を維持できるだけの収入を稼ぐのが難しいとも言われています。
普段は整備士の仕事をしながらレース当日だけレーシングメカニックとして参加し、副収入を得ているという人が大半です。
3.ドライバーの命を預かる責任の重さ
日本国内でも数多く開催されているカーレースやロードレース参加チームのレーシングメカニックは、以上のような事情から兼業の形で働いている人が多数を占めると考えられます。
F1やインディ500など大企業のスポンサーがつくような海外の有名レースに参加するほどのチームでない限り、レーシングメカニックの給料の源泉となるスポンサー収入も国内レースでは多くを期待できません。
それでもレーシングメカニックたちはモータースポーツをこよなく愛する人たちの集まりだけに、少ない報酬でも1人1人やりがいを持って仕事に励んでいるものです。
レースに使用するマシンはちょっとした整備不良やミスがエンジン・ブレーキ等のトラブルにつながり、レース結果に大きく影響してしまいます。
そうしたトラブルが原因でマシンが大破するような事態になれば、ドライバーの命にも関わりかねません。
レーシングメカニックはそうした責任重大な役割を担っているだけに、マシンの組み立てや整備にも細心の注意が求められるのです。
4.海外では専業のメカニックも存在
レーシングメカニックの仕事はドライバーの命を預かるという心理的プレッシャーに加え、レース前などは徹夜で作業を行う場合も考えられるため体力面の負担も大きくなります。
それでいながら前述したような理由で国内のレーシングメカニックは安定した収入が得にくいという不利な立場ですが、F1など海外の有名レースに参加するチームの中には1000万円以上の高年収を稼ぐメカニックがいるのも事実です。
未経験の人がいきなりF1チームに所属するのはまず不可能とは言え、自動車メーカーや一般のレーシングガレージなどに就職してメカニックの経験を積めば可能性も出てきます。
有名レースに参加しているようなチームは欠員が出た場合でも採用するのは即戦力の人材に限られるため、メカニックとしての実績が大きな武器となります。
もちろんF1のような大舞台でメカニックとして働くには英語力が不可欠となりますので、語学学校に通ったりして勉強する必要も出てきます。
5.モータースポーツ関係の専門学校で学ぶのが近道
F1など有名レースのレーシングメカニックになれれば世界最高峰のマシンを手がける栄誉も得られますが、そのためにはまず自動車整備の基本から学ばなければなりません。
レーシングメカニックを募集してる自動車メーカーやチームの多くは、2級または3級程度の自動車整備士資格を採用条件としています。
整備士資格がなくても仕事上の法的な問題はないため資格を持たないレーシングメカニックも少なくないとは言え、自動車整備の予備知識があるのとないのでは仕事への適用力も違ってくるものです。
特にマシンをゼロから作り上げるフォーミュラ系のチームでは、溶接や旋盤などの金属加工技術も問われてきます。
自動車整備士の資格を取得するには自動車関係の専門学校で学ぶのが一般的ですが、レーシングメカニックを目指すには自動車工学について詳しく学べるモータースポーツ系の専門学校が有利です。
世界でも通用するスキルが身につくレーシングメカニック
カーディーラーやカスタムショップに就職した人の中にも、経験を積んだ後にレーシングメカニックへと転身した例は少なくありません。
現状では国内レースに参加しているチームのレーシングメカニックは専業として成り立ちにくい面もありますが、メカニックとしての実力と語学力を身につければ海外で活躍する道も開けるのです。