
外交官と言えば諸外国に置かれた大使館や総領事館などで活躍する仕事として華々しいイメージがあります。
実際の外交官はどのような仕事に従事し、花形の職業に相応しい高収入が得られるのかという点について紹介します。
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1.在外公館や外務省本省が主な勤務先
現在の日本で外交官と呼ばれる人々は、いずれも外務省の職員として勤務する国家公務員です。
その勤務先は外務省本省だけでなく、大使館や総領事館など世界に200カ所ほどあると言われる在外公館にも及びます。
外務省の職員には国家公務員採用総合職試験に合格して採用されたキャリア外交官の他、外務省専門職員試験に合格したノンキャリア外交官と国家公務員採用一般職試験に合格した一般職員の3種類があります。
いずれも5年から6年を目処に転勤があり、本省勤務と在外公館勤務を繰り返しながら実績を積み重ねていくのが特徴です。
3種類の職員はそれぞれ果たすべき任務が異なり、キャリア外交官は将来の幹部候補・大使候補として外国との交渉や外交政策の実施など外交官としての最も重要な役割を担います。
ノンキャリア外交官と呼ばれる専門職員はキャリア外交官のサポート役としてさまざまな実務に従事し、一般職員は庶務や会計などを担当するのが主な仕事です。
2.安定した収入にさまざまな手当が加算
外務省職員も国家公務員の一種ですので、外交官に支給される給与は人事院勧告によって決められています。
大卒初任給は21万円程度で一般の国家公務員と比べても平均的な水準にとどまるため、一見するとそれほど高収入が得られる職ではないかのようです。
一方で外交官が大使館や総領事館などの在外公館に配属された場合は、海外赴任に伴う手厚いサポートが受けられます。
最大50万円ほどに達する在勤基本手当に加えて住居手当や配偶者手当などの手当が給与に加算されるため、外交官全体の平均年収はボーナスも含めて1000万円を上回るとされています。
海外生活も長くなると予想されるため単純比較はできませんが、国内企業の一般的な会社員の平均年収400万円と比べると相当に高い水準です。
海外赴任の外交官に支給される海外赴任手当は1人当たり平均800万円ほどに達すると言われているだけに、手当だけでも平均年収の倍に達する計算になります。
3.治安の悪い国や政情不安の国に配属される例も
在外公館には国の首都に設置される大使館の他、その出先機関として首都以外の主要都市に設置される総領事館や、国連など国際機関の所在地に置かれる政府代表部があります。
大使館や総領事館はビザ発給やパスポートの発行・更新に加え、旅行などで滞在する日本人の保護やさまざまなサービスを行っています。
外交官の役割はそうした自国民への対応だけでなく、相手国に対する広報活動や文化交流の面でも大きな役割を果たしてきました。
大使館や総領事館に勤務する外交官は合法的な情報収集活動と国への報告に加え、相手政府とのさまざまな交渉や発展途上国への政府開発援助まで含めた多彩な活動を担っているのです。
日本大使館が置かれている国は先進国だけでなく、中には政情不安の国や治安の悪い国も含まれます。
外交官にはガードマンがつくとは言っても、そうした国や地域での勤務は緊張の連続で、不測の事態に巻き込まれるリスクを負うことも避けられません。
4.国を代表する名誉ある職業
このように海外を舞台としてさまざまな国の人々と交渉や交流を行う外交官だけに、語学力は必須の職業です。
事実上の世界共通語となっている英語はもちろんのこと、赴任先の国に合わせた言語の取得も必要になってきます。
外務省職員として採用された後は英語に加えて第2外国語を習得するための研修が2年から3年ほど行われますが、ノンキャリアの外務省専門職員にはこの第2外国語の選択肢が40ほども与えられます。
キャリア外交官を支える役割が求められるとは言え、特定の国やその母国語のスペシャリストとなった専門職員には、通訳担当官などの重要な任務を任される例も少なくありません。
将来的に大国の駐在大使など大役に任命される可能性を持つキャリア外交官はもちろん、外交活動の実務を担当するノンキャリア外交官も国を代表して外国との交渉や国際交流を行う大切な役目を果たしています。
そうした名誉ある職業として誇りを持ちながら働ける点が外交官になる最大の魅力です。
5.外務省に入るための3種類の採用試験
外務省職員の中でもキャリア外交官は昇進に伴って収入が大幅アップし、大使クラスになると年収2000万円以上に達すると言われています。
収入の面でも役職の名誉の点でも有利なキャリア外交官になるためには、超難関と言われる国家公務員採用総合職試験に合格しなければなりません。
その上で官庁訪問による面接等の独自試験に合格した人だけが、キャリア外交官として経歴をスタートさせることができます。
総合職試験よりは難易度が低いとは言え、実質合格率が10%前後の外務省専門職員試験もしっかりとした受験対策が欠かせません。
一般職員の登竜門となる国家公務員採用一般職試験の合格率は5倍程度で、3種類の中では最も低い難易度です。
外交官としての華々しい活躍を目指す人ほど難関試験の壁を突破しなければならず、英語だけでなく第2外国語も含めた高度な語学力と政治・経済・法律等の知識をしっかりと身につける必要があります。
手当だけでも多額の収入になる外交官の仕事
公務員としての安定した給与に加えて海外赴任に伴う多額の手当がつく外交官は、平均年収の高い恵まれた職業です。
特に超難関の試験に合格して採用されたキャリア外交官は、将来性の点でも申し分がありません。
外交官の仕事は残業が多く大変な面もありますが、海外交流を担う重要な任務だけにやりがいのある仕事です。