
医療系の資格はどれも難しそうなイメージがありますが、中でも臨床検査技師は比較的に馴染みの薄い職業です。
そんな臨床検査技師の仕事内容や平均収入に加え、職業としての安定性や将来性についても調べてみました。
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1.検体検査と生理学的検査を担当
病気になったり怪我をしたりして医療機関を受診すると、まず検査を受けて体の状態を調べるのが普通です。
そうした検査にも技術の進歩に伴ってさまざまな機械が使われるようになり、機械操作に関する専門知識を要するようになりました。
多忙な医師がすべての検査機器について操作方法に習熟するのは困難となってきたため、検査を専門に行う職業が分化されてきているのです。
X線撮影やCTスキャン・マンモグラフィなど、放射線を使用する検査は主に放射線技師が担当します。
臨床検査技師は血液検査や尿検査・病理検査などの検体検査に加え、心電図検査や脳波検査・超音波検査・MRIといった生理学的検査が担当領域です。
大きな病院では臨床検査技師と放射線技師で大半の検査をカバーしており、医師が診察や治療に専念できる環境が整っています。
臨床検査技師の就職先はそうした病院だけでなく、検診センターや製薬会社なども含まれます。
2.平均年収は約470万円で医療系としては低め
気になる臨床検査技師の平均年収ですが、医療系の職業の中では決して高収入とは言えないのが現状です。
臨床検査技師の資格を取得して病院などの医療機関に採用された場合の初任給は20万円程度で、一般の会社員とそれほど変わりありません。
大学病院など規模の大きい医療機関と、医療スタッフの人数が100人以下の小規模医療機関では給料にも差が出てきます。
そうした就職先の違いや勤務年数に応じた昇給を考慮した臨床検査技師全体の年収は、およそ470万円というのが平均的な相場です。
一般的な会社員の平均年収は約400万円と言われているのでそれよりは若干高い数字ですが、年収1000万円以上も珍しくない医師と比べると低い水準にとどまります。
同じように検査を担当する放射線技師の平均年収が500万円を上回っているのは、取り扱いに注意を要する放射線を扱う上に放射線治療にも従事するという業務の難易度に応じた額と言えます。
3.資格を取得しても就職に壁
臨床検査技師は医療スタッフの中でも収入面ではあまり恵まれていませんが、医師の診断に重要な指標を与える存在として医療現場に欠かせません。
優れた技量を持つ臨床検査技師はどの病院でも医師や看護師から頼りにされているだけに、資格さえ取得すれば一生安泰で就職に困らないように思われがちです。
実際には臨床検査技師の求人数は大手の病院ほど多くないのが実状で、資格を所得しながら就職先がなかなか決まらないという人も少なくありませんでした。
大学病院に代表される大病院で働く臨床検査技師は収入も安定しているため離職率が低く、新規の求人が出される例も決して多くありません。
未経験者が運よくそうした医療機関に採用されたとしても、臨床検査技師として一人前の戦力となるには何年もかかると言われています。
離職率が高いクリニックや検診センターでは求人数が多くなっていますので、そうした職場に就職して経験を積み、条件の良い大病院への転職を目指すのも1つの方法です。
4.医療スタッフの一員としての仕事にやりがい
同じ医療系の職業でも臨床検査技師は医師に比べると収入面で圧倒的に不利ですが、医師になるには高額の教育費がかかります。
医師免許を取得するのに不可欠の専門教育を受けるには、難関と言われる大学の医学部に合格するだけの学力も必要です。
医療に関わる仕事を志す人は少なくありませんが、高い学力と高額の教育費を要する医師は誰でもなれる職業ではありません。
その点で臨床検査技師は教育面でのハードルが医師よりも全般に低く設定されています。
3年制の短期大学や専門学校で臨床検査に関わる課程を修了すれば、4年制の大学を卒業した場合と同様に国家試験を受験する資格が得られるのです。
医療の現場で果たす役割こそ医師や看護師と異なりますが、医療スタッフの一員として患者の命を救う仕事に従事できる点に変わりはありません。
臨床検査技師はそうした点に仕事のやりがいを感じながら、日々の地道な検査業務に励んでいるのです。
5.国家試験の受験資格と合格率
臨床検査技師の資格を取得した人の中には製薬会社や医療機器メーカーで働いているケースもありますが、そうした仕事も間接的ながら医療に貢献する役割を果たしています。
大手の製薬会社に就職した場合は、小規模の医療機関よりもかえって高収入が得られるものです。
臨床検査技師として豊かな経験を積むには、検査設備の充実した大学病院など大規模な医療機関の方が有利だと言えます。
どちらにしても臨床検査技師の職を得るには、まず臨床検査技師国家試験に合格しなければなりません。
前述の教育機関で臨床検査過程を修了した人に受験資格が与えられるこの試験は、合格率が毎年80%前後で推移しています。
合格率だけを見るとそれほど難易度が高くないように思われがちですが、試験の内容は専門的なため誰でも簡単に合格できるというわけではありません。
大学や専門学校で専門課程を受けながらしっかりと学んで国家試験に合格した人だけが、臨床検査技師として活躍できます。
低めの取得ハードルで医療に携われる臨床検査技師
学力や経済的な理由で医師への道を断念した人でも、臨床検査技師の資格を取得すれば医療スタッフとして働く道が開けます。
医師などと比べると高収入にはつながりにくい職業ですが、臨床検査技師も現代医療に欠かせない一員です。
製薬会社等に就職する場合も含め、臨床検査技師は仕事のやりがいを求める人に向いた職業です。