
今やコンピュータグラフィックはテレビアニメや映画だけでなく、ゲームやCM・Web動画などさまざまな場面で使われています。
制作を担当するCGアニメーターについて、仕事の大変さと収入や将来などの点を紹介します。
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1.CGソフトを使ってアニメーションを制作
アニメの絵を動いているように見せるため、従来のアニメーターは手描きで大量のセル画を作成する仕事でした。
30分物のアニメ1話分で3000枚にも及ぶセル画を1枚1枚描いていくのは大変な作業で、作画担当のアニメーターは低い報酬で長時間労働を強いられてきたものです。
現在では一部を除いて大半のテレビアニメがCGソフトを使って制作されるようになったため、手描きの負担は軽減されつつあります。
最近では2Dばかりでなく3Dで作成されるアニメーションも映画やゲーム業界で増えており、実写と区別がつかないほど高精細に作り込まれた3DCGアニメーションも少なくありません。
手描きのアニメでは絵コンテに基いて原画マンがポイントとなる場面の原画を描き、原画と原画を埋めるカットを動画マンが1枚1枚描くというのが基本的な流れです。
アニメーターはまず動画マンからスタートし、経験を積んだ後に原画マンから作画監督へとキャリアアップするのが一般的でした。
2.手描きのアニメーターよりは収入水準も改善
アニメ制作会社に所属するアニメーターの給料は成果報酬制のため、よほど大量の仕事をこなさなければ収入が増やせません。
特に動画マンの報酬は1枚150円から250円という低い水準のため、手描きの場合はしばしば徹夜で仕事をこなしても収入は月に10万円以下という例が少なくなかったのです。
CGの技術が進歩したことで絵に動きをつけるための作業が効率化し、現在ではこうした動画マンの負担も大幅に軽減されています。
現在でもセル画を手描きで1枚1枚丁寧に描きこんだハイクオリティのアニメ映画は制作されていますが、CGアニメーターの収入は手描き時代の動画マンよりも改善されています。
アニメ制作会社や映像制作会社などに就職した場合のCGアニメーターは初任給が16万円前後と言われており、アニメーター全体の平均年収は300万円前後と推定されます。
大手ゲーム制作会社などはさらに給与水準が高く、会社員の平均を上回る年収を稼いでいるCGアニメーターも少なくありません。
3.納期直前や仕様変更で長時間労働を強いられることも
CGを導入することでアニメーション制作作業が効率化されたとは言え、アニメーターの仕事は非常に手間がかかる作業の連続だという点には変わりありません。
2Dの原画を担当するアニメーターは依然として手で絵を描き、スキャナーでパソコン取り込む形が主流です。
3DCGアニメーションを制作する場合は3Dソフトを使用し、仮想骨格を作成するモデリングの後にキーフレームを描画していきます。
手描きのアニメでは動画マンの役割に相当するキーフレーム間の補間は3Dソフトによるレンダリングで自動化できますが、高精細な3Dアニメーションを描画するのは大変な作業です。
納期が近づいてくると長時間の作業を強いられ、徹夜の作業で納期に間に合わせるといった例はCGアニメーターでも珍しくありません。
ゲームに使われるCGアニメーションの場合はゲームの仕様変更に合わせて修正しなければならないケースも出てくるため、同様の長時間労働が避けられないのです。
4.キャラクターに生命を吹き込む仕事にやりがい
手描きよりは生産性が向上したと言ってもCGアニメーターには以上のような大変さがありますが、多くのアニメーターは誰よりもアニメを愛する人たちの集まりです。
1枚1枚の絵を根気よく仕上げていく作業の積み重ねによって、キャラクターが生き生きと動くようになるということをアニメーターはよく知っています。
だからこそアニメーターは手間のかかる作業も厭わず、キャラクターに生命を吹き込む仕事にコツコツと打ち込めるのです。
魅力的なアニメを作り上げるにはこうした作画だけでなく、声優やBGMなど音の要素も欠かせません。
1本のアニメが完成するまでには、それだけ多くの人が関わっているものです。
特に作画を担当するアニメーターは1人1人個別の作業となりますが、自分の手がけたアニメがテレビで放送されたときには大きな達成感が得られます。
映画のエンドロールに自分の名前がクレジットされる点を、仕事のやりがいとして挙げるアニメーターも少なくありません。
5.大学や専門学校でCGを学ぶのが近道
CGアニメーターの活躍の場はテレビアニメやアニメ映画の制作現場だけでなく、ゲーム会社やテレビ番組の制作会社なども含めて多岐にわたります。
手描き専門のアニメーターに比べると、CGソフトを使ってアニメーションを制作するプロになれば仕事の幅も広がるものです。
3DCGソフトの操作に習熟すればCGデザイナーとして活躍する道も開けるため、大手ゲーム会社に転職して高収入を得ることも可能になってきます。
アニメ制作会社は一部を除いて小規模経営が多いためCGアニメーターの平均年収も低めとなっていますが、身につけたスキルを武器としてゲーム業界などに転職すれば高収入を得ることも十分に可能です。
いずれにも大学や専門学校でCGやアニメーションに関して専門的に学ぶことが、CGアニメーターになるための近道と言えます。
プロの現場で使われているような高価なCGソフトを使って実習できる点も、そうした学校で学ぶメリットの1つです。
専門学校で学び就職することが、CGアニメーターへの第一歩
パソコンやスマートフォンの処理能力が大きく向上したため、Webサイトやモバイルゲームなどで高精細なCGアニメーションが多く使われるようになりました。
CGアニメーター活躍の場もテレビや映画だけでなくインターネットの世界にも広がりを見せているだけに、高収入につながる将来性という点でも有望な職業です。